創世記42章 私のふたりの子を

創42:37「ルベンは父にこう言った。「もし私が彼をあなたのもとに連れて帰らなかったら、私のふたりの子を殺してもかまいません。彼を私の手に任せてください。私はきっと彼をあなたのもとに連れ戻します」」
ルベンは12兄弟の最年長で、落ち着き、判断力もありました。ほかの兄弟がヨセフに手をかけようとしたときも、ルベンが「いのちを打ってはならない」とヨセフの命を救ったのです(37:20-21)。また、ヤコブの大切にしているベニヤミンを連れて来いと言われたときも、「彼の血の報いを受けるのだ(22)」と他の兄弟を戒めています。そして、カナンに戻って父ヤコブに報告の際には、シメオンを連れて帰ってこれなければ自分のふたりの子を殺してもかまわない、とさえ言うのです。ルベンのこの落ち着いた考え方は、おそらく自分こそがアブラハム、イサク、ヤコブに次ぐ継承者だという自負があったからではないでしょうか。ルベンはすでにヤコブのそばめビルハのもとに入っています(35:22)。それは、後継者のあかしとなる行為で、父の存命中にそばめのところに入るのはまれなことでした(2サム16:22)。ルベンは「自分こそは」という自信がありましたが、少し先走りすぎたようです。しかし、ヤコブラケルの子ベニヤミンを失うことを恐れました。長男ルベンは自分の子を犠牲にしても、という提案でしたが、父と子の心は一つになっていなかったのです。