1サムエル記17章 私は存じません

1サム17:55「サウルは、ダビデがあのペリシテ人に立ち向かって出て行くのを見たとき、将軍アブネルに言った。「アブネル。あの若者はだれの子だ。」アブネルは言った。「王さま。私はあなたに誓います。私は存じません」」
このあたかもサウルがダビデを知らない素振りは、聖書を読む者に矛盾を感じさせます。しかし、サウルは立琴の上手なダビデを気に入り、エッサイに使いを送って召し抱えています(16:19)。それ以来ダビデは道具持ちになったと書かれています(16:21)。ダビデが羊の番をしていたのは、サウルに悪い霊が降りてこず、さらにサウルが移動する必要がなかったために任務から外れていたからです(15)。サウルとダビデが自分の鎧を貸すほど近しい関係なのは明白です(38)。これは推測ですがサウルがわざわいの霊に悩まされていることを知るのは側近のわずかな部下のみだったと思われます(16:15)。そしてダビデが立琴を弾いてサウルを慰めていたことは、側近たちの秘密で、たとえ将軍アブネルでさえ知らなかったと推測できます(55)。サウルは自分のお気に入りのダビデが(16:21)殊勲を挙げたのを内外に知らせるために、あえてダビデが誰の子かを聞いた可能性があります。それはダビデが単に立琴を上手に弾く少年ではなく、勇気ある戦士でもあったことを喜んだからではないでしょうか?