2サムエル4章 彼の血の責任をおまえたちに問い

2サム4:11「まして、この悪者どもが、ひとりの正しい人を、その家の中の、しかも寝床の上で殺したときはなおのこと、今、私は彼の血の責任をおまえたちに問い、この地からおまえたちを除き去らないでおられようか」
サウルの子イシュ・ボシェテを担ぎ上げ、王としたのはサウルの将軍アブネルです(2:10)。この段階でイスラエルには2つの王朝が両立する奇妙な現象となりました。アブネルとしてはダビデを倒して、主君としたイシュ・ボシェテが王となるサウル王朝の存続を願っていたはずです。アブネルとダビデは対立する関係となりましたが、ダビデがアブネルやイシュ・ボシェテが死ぬことは望んでいなかったようです。ダビデの人生では、自分とは敵対した仲だったりしても、身内を非常に大切に思っていたようです。たとえ息子のアブシャロムに追いかけられようとも(15:14)、その死を願ってはいませんでした(19:4)。また、一度はダビデの妻だったサウルの娘ミカルが他の男に嫁がされても(1サム25:44)、ミカルのことを決して忘れず、彼女を取り返しています(3:16)。律儀で、恩を忘れないダビデの性格が見て取れます。そのようなダビデにサウル王に続いて(1;10)、イシュ・ボシェテを殺したと2人の男がやってきました(8)。もし、彼らがダビデに仕えた経験がある者たちならば、イシュ・ボシェテの首は持ってこなかったでしょう。彼らはただ、ダビデとサウル王の確執を知り、手柄を立てて褒美をもらおうとしただけです。しかし、ダビデにはその行為は許せませんでした。