1列王記5章 レバノンから海へ下らせます

1王5:9「私のしもべたちはそれをレバノンから海へ下らせます。私はそれをいかだに組んで、海路、あなたが指定される場所まで送り、そこで、それを解かせましょう。あなたはそれを受け取ってください。それから、あなたは、私の一族に食物を与え、私の願いをかなえてください」
当時から「ツロの王(1)」を名乗っていたことから、貿易を生業としていたことがわかります。現在でもツロはレバノンの主要港であり、現地語で「スール」、一般的には「ティール」と呼ばれています。一方、現在のイスラエルの港は地中海側に「ハイファ」と「アシュドド」の2つがあります。エルサレムの最寄りの港ならアシュドドで、港からは約50キロほどの距離です。ツロからエルサレムまで直線距離なら140キロほどですが、エルサレムは標高800メートル近辺にあり、陸路なら相当な労力が必要になります。ヒラムの提案した海路が最も妥当な方法で、ツロはレバノン杉をこの方法で納品していたのだと思われます。何よりも航海術にたけていたツロの民は、後にソロモンのしもべと共にオフィルという金の取れる島に行っています(2歴8:18)。ヨシャパテ王はこの話を聞き、オフィルに行こうとしましたが、ツロの航海士なしでは船が難破するだけでした(1王22:48)。ソロモンはヒラムに職人の調達も願い出ており、ツロの職人とイスラエルの職人が合同で神殿の内部の装飾を行なっていたことが書かれています(2歴2:8)。