1列王記7章 ナフタリ族のやもめの子

1王7:14「彼はナフタリ族のやもめの子であった。彼の父はツロの人で、青銅の細工師であった。それでヒラムは青銅の細工物全般に関する知恵と、英知と、知識とに満ちていた。彼はソロモン王のもとにやって来て、そのいっさいの細工を行なった」
唯一、この箇所だけにヒラムの経歴が書かれています。それによると、ヒラムの父はツロ人で母はナフタリ族だっようです。早くに父は亡くなり、やもめの子として育てられました。ナフタリの地はイスラエルの北部にあり(ヨシュ19:33)、ダンからベエル・シェバという表現(士20:1)のダンはマナセとナフタリの境にありました。イスラエルの最北で西にはアシェル族がおり、アシェルは地中海に面する土地を持っていました(ヨシュ19:34)。距離的にもツロに近いナフタリ族の娘が、ツロの男と結婚しヒラムが生まれたのです。おそらくナフタリ族の母の影響だと思われますが、イスラエルの神殿の神具を注文通りに作ることができるのは、その方面の知識に明るかったからです。聖書にはヒラムは青銅の細工物全般に関する知恵と、英知と、知識に満ちいた(14)とあります。ちなみに歴代誌ではヒラムは「フラム」と訳されています(2歴2:13)。新改訳の列王記訳の本間氏と歴代誌を訳した岩井氏とですり合わせをして、原文の音に近い日本語を当てたのだと思います。知恵に満ちたヒラムは同じく知恵に満ちたソロモンの注文通りに仕事を完成させました。