エステル1章 自分の民族のことばで話す

エス1:22「そこで王は、王のすべての州に書簡を送った。各州にはその文字で、各民族にはそのことばで書簡を送り、男子はみな、一家の主人となること、また、自分の民族のことばで話すことを命じた」
昔は男性社会で、どこの国でも家庭を治めているのは男性だと思っていましたが、古代ペルシャではどうもそうではなかったようです。聖書の記述を読む限り、わざわざ王が書簡で命令を書き送らなければ男子が一家の主人ではなかったことを示しています(22)。王妃ワシュティがわがままを通しても、王に逆らったといって捕らえられたり、罰を受けたりはしませんでした。それどころかワシュティの行為は前代未聞でどのように処理すべきか、定まった法律もなかったのです(1:15)。不思議なことにペルシャは言語を統一しようとしていませんでした。大抵の場合、国を占領したり併合したら、その国の国民と意思疎通を図るために言語を統一するのが普通です。南アメリカのほとんどの国はスペイン語を話します。それはスペインがその土地を植民地化したからです。ペルシャは征服した土地の言語や宗教に寛容な姿勢が見られます。エズラ、ネヘミヤの神殿回復もペルシャ支配下でなければ実現しなかったかもしれません。このような一種変わった政治形態の中でエステルは王妃になります(2:17)。アハスエロス王の時代には大帝国になっていたペルシャは、ユダヤ人という神の民をかかえたまま歴史の渦に巻き込まれていくのです。