マタイ5章 左の頬も向けなさい

マタ5:39「しかし、わたしはあなたがたに言います。悪い者に手向かってはいけません。あなたの右の頬を打つような者には、左の頬も向けなさい」
「目には目(出21:24)」は、過剰な報復を避けるために授けられた律法です。火傷をさせたぐらいで、命を取られたのではたまりません。この律法の解決法は、平等性にあります。「悪い」のギリシャ語「paneros(パネロス)」が使われており、「よこしまな」とか「邪悪な」という意味があります。しかし、イエス様が逮捕されたときには、兵士はこぶしで殴り、平手でイエス様を打っています(26:67)。つまり、怒りに任せたものなら、わざわざ手の裏で叩くようなことはないのです。多くの解釈では手の裏で叩くことは侮辱にあたるとされています。邪悪な者が目の前に立ちはだかり、侮辱を持って右の頬を打たれたのなら、律法によれば自分も同様の仕返しができるはずです。それがイエス様が「目には目を」を引用した理由です。本来なら、今度は自分が手の裏を使って相手の右頬を打てる権利があるはずです。「左頬」は、相手の右にあたる側です。自分が打つべき相手の右頬、つまり左頬を差し出すことにより、自分が仕返しをする権利を相手に譲渡したことになります。イエス様は律法を廃棄しに来た訳ではありません(17)。自分が報復する権利を自分で行使しないだけで、左頬を差し出すことにより律法は守られるのです。