士師記9章 この町のつかさゼブルは

士9:30「この町のつかさゼブルは、エベデの子ガアルの言ったことを聞いて、怒りを燃やし」
ガアルがシェケムを通りかかったとき(26)、と書かれていますが、偶然通りかかったようには思えません。彼は「シェケムの父ハモルの人々に仕えなさい(28)」と訴えています。「ハモル」の名は創世記に登場します。ヤコブの息子たちの末の妹ディナが辱められる事件があり、そのときにシェケムの父ハモルが仲介役として出てきます(創34:4)。結局、ディナの兄シメオンとレビによってシェケムの男たちは殺されますが(創34:25)、ガアルはこのシェケム一族の末裔だと思われます。シェケムがアビメレクのおかげで混乱しているのを耳にして、これを機にハモル族の再興を画策したようです。しかし、これを聞いたゼブルは怒りを燃やしました(30)。どさくさに紛れてギデオン一族からシェケルを奪おうとするガアルの思惑が見え隠れしたからです。ゼブルはアビメレクに密告して、ガアルを排除しようとします(31-33)。アビメレクに簡単に追い詰められたガアルをゼブルは容赦なくシェケムから追い出し、住まわすことはありませんでした(41)。アビメレクはギデオンの功績を継ぎ、王になろうとしましたが、主がその悪だくみを阻止しました。アビメレクのような神から罰せられる男の前に、火事場泥棒のような輩が出て、イスラエルの混乱ぶりが見て取れます。