2サムエル20章 女はその知恵を用いて

2サム20:22「この女はその知恵を用いてすべての民のところに行った。それで彼らはビクリの子シェバの首をはね、それをヨアブのもとに投げた。ヨアブが角笛を吹き鳴らしたので、人々は町から散って行って、めいめい自分の天幕へ帰った。ヨアブはエルサレムの王のところに戻った」
女が用いた「知恵」はヘブル語「chokmah(ホフマー)」が使われており、ソロモンの箴言「主を恐れることは知識の初めである(箴1:7)」の「知識」と同じ語です。町の名前が「アベル・ベテ・マアカ」というのは(15)、昔から「アベルで尋ねよ」という言い伝えがあるほど、知者が集まる町だったようです(18)。その中でもとびきり賢い指導者がこの女だったようです。英語訳では「wise advice」となっており、町の人たちを説得したようになっています。この女の素性は書かれていませんが、まずヨアブを名指しして1対1で話しています(16)。どうやらヨアブがどういう立場にいて、戦闘のプロだということも彼女は知っていたように見えます。町ではシェバとベリ人たの一行が来たことは知っていたはずです。この一団が町のダビデ王に背いたと知らされると、この女はシェバの首を差し出すと提案するのです(21)。短時間で判断したこの女の決断力には驚かされますが、彼女が町の人をすぐに説得してシェバの首をはねさせたのも驚きです。まず、交渉する相手を1人に絞り込み、その相手が責任を担うものであることを確認し交渉しています。ヨアブを町にいれて話し合うこともできたでしょうが、門を開けて招き入れる前に全ての交渉を終わらせたのです。