エレミヤ28章 すべての民の前でこう言った

エレ28:11「そしてハナヌヤは、すべての民の前でこう言った。「主はこう仰せられる。『このとおり、わたしは二年のうちに、バビロンの王ネブカデネザルのくびきを、すべての国の首から砕く。』」そこで、預言者エレミヤは立ち去った」
ハナヌヤの自信はいったいどこからくるのでしょうか。ハナヌヤの預言を信じる者が出てくるなら、あと2年我慢すればネブカデネザルはいなくなる、と勘違いしてしまうでしょう。ここでは「かせ」が重要な言葉となっていますが、ヘブル語「mowtah(モター)」には「くびき」の意味もあります。多くの人が聞く前で根拠のないお気楽な平和預言をする見本のような出来事です。すでにエレミヤはゼデキヤ王に対しても「あなたがたはバビロンの王のくびきに首を差し出し、彼とその民に仕えて生きよ(27:12)」と預言しています。エレミヤの預言とは真っ向から反対の預言をし、しかも内容が今の状況から好転して助かるような印象を与えるものです。ハナヌヤは「2年」という年月を預言しましたが、いい加減なことを預言したさばきとして2か月後に死にます(17)。ハナヌヤの例はほんの一部で、主は「預言者、占い師、夢見る者、卜者、呪術者に聞くな(27:9)」と言われているので、他にも民を惑わすハナヌヤのような者はたくさんいたと思われます。そのような中でエレミヤだけが苦くて、希望のない預言をしていたのです。四面楚歌の状態のエレミヤが頼れるのは主だけでした。鎖につながれても主の語ることを伝えなければならなかったからです。