伝道者4章 悪いわざを見なかった者

伝道4:3「また、この両者よりもっと良いのは、今までに存在しなかった者、日の下で行なわれる悪いわざを見なかった者だ」
ソロモンは生きながらえるより、すでに死んだ者に祝いを述べると言っています(2)。この「祝い」のヘブル語は「sabah(シャバック)」が使われており、「ほめたたえる」とか「かがやく」の意味があります。死んで良かったね、とは皮肉のようですが、生きていると多くの悪を見なければなりません。日の下で行なわれる悪いわざに遭遇しなけった者はさらにましだとソロモンは言います。人が成功するのは、人間同士のねたみが原因だと書かれています。確かに人より裕福になりたいと思う根本には、うらやましいという感情が人を支配しているからだと思います。貧しくても知恵があれば、忠告を聞く心があります(13)。年老いてしまい、人からの意見を聞けなくなり、なおかつその者が王であるなら、その王は愚かな存在になり得ます。ひょっとしたら、ここに出てくる「王」は、ソロモン自身を指しているのかも知れません。おそらく、ソロモンの時代も終わろうとしているのだと思います。そのようなときに国中を見回しても、民は若い王に付き従おうとするのです(15)。しかし、時代が過ぎるならその王もやがて新しい民衆には支持されなくなり、これが繰り返されるのです(16)。ソロモンはこれもむなしく、風を追うようなものだと言っています(16)。