創世記12章 所有するようになった

創12:16「パロは彼女のために、アブラムによくしてやり、それでアブラムは羊の群れ、牛の群れ、ろば、それに男女の奴隷、雌ろば、らくだを所有するようになった」

この話が美人局の話なら、サラ(サライ)は相当腕の良い引っかけ女です。アブラハムの後ろ盾には主がついておられます。ここではエジプトのパロには何の落ち度もないように見えます。現代ならば、腕っぷしの強いやくざ者が後ろについていて、女に手を出したらボコボコにして金銭を巻き上げるのですが、この場合の後ろ盾が神であったのはパロの不幸でした。アブラムは羊や牛などの家畜と、男女の奴隷を手に入れてエジプトを去ることになります。しかし、ハランからベテル近辺まで来ていたのなら(8)、約束の地はもうすぐです。聖書には約束の地を通り越して、エジプトに向かったのはききんがあったからだと書かれています(10)。その直前にはネゲブを通っており(9)、ネゲブは砂漠地帯なので、ききんのために家畜の水や放牧にも困っていたはずです。それはあたかもヨセフの時代にききんが起きて(41:54)、ヤコブ一族がエジプトに食料を求めてきたことを暗示する内容です。このエジプトの一件で、彼らはききんを乗り越えただけでなく、多くの財産を手にしたため甥のロトと別れて住むようになります(13:9)。不思議な神の導きでロトはソドムへと向かうことになり、後にアブラハムの願いで10人の中にロトが数えられます(18:32)。