ヨブ記6章 何の助けもないではないか

ヨブ6:13「私のうちには、何の助けもないではないか。すぐれた知性も私から追い散らされているではないか」

この段階でサタンの誘惑はある程度成功していると言えます。つまり、ヨブが信仰は失なわなかったけれども、全てを失ったときに神の助けはなかったと思い始めているのです。現実を見るなら、それも仕方のないことです。富豪だと言われたヨブが一瞬にして、財産と子どもたちが失われました(1:13-19)。それでも「裸で母の胎から出てきた。また、裸で私はかしこに帰ろう(1:21)」と、与えられたものを「かしこ」に持っていくことができないことを悟り、地上での裕福なひとときがあったことに感謝を捧げています。しかし、エリファズとの会話をとおして、次第に心の中を吐露していくうちに、心の葛藤が見え隠れしています。それも人間ならばしかたのないことです。いま、ヨブとエリファズが問題視しているのは、「神」を信じる信仰があるにもかかわらず、神に従う者に対してこのような仕打ちが起きるはずがないというものでした。エリファズは神が義なるお方ならば、問題はヨブにあるとし、なんとかしてヨブに過ちはなかったかを考えさせようとしています。それに対してヨブは思い当たることがないばかりか、「私がどんなあやまちを犯したか、私に悟らせよ(24)」と言い、そうすれば黙ろうとエリファズに詰め寄ります。