出エジプト記2章 自分の同胞であるひとりのヘブル人を

出2:11「こうして日がたち、モーセがおとなになったとき、彼は同胞のところへ出て行き、その苦役を見た。そのとき、自分の同胞であるひとりのヘブル人を、あるエジプト人が打っているのを見た」

「同胞たち」というのは、ヘブル語「ah(アック)」が使われており、「兄弟」という意味があります。モーセが実の母から乳を飲み(9)、ある程度大きくなるまで世話をしています(10)。乳離れが何歳かは断定できませんが、このときに母からモーセはヘブル人であることを知らされていたのでしょうか。あるいはエジプトの王女が最初から身分を隠さず、モーセはヘブル人であることを告げていたのかもしれません。どちらにしろ詳しい事情は書かれていませんが、モーセが自分はヘブル人だということを自覚していました。モーセがとっさにヘブル人を助けようとしましたが、「あたりを見回し(12)」とあるように最初から相当な痛手を与えようとしたか、殺そうと決意していたようです。モーセが王女の娘でありながら、ヘブル人であることはどうやら多くの人が知っていたようです。モーセは自分ではバレないように、エジプト人の殺人を隠したつもりでしたが、次の日に会ったヘブル人は殺人を知っていました。おそらく助けてもらったヘブル人がモーセのことを言いふらした可能性があります。モーセが育った環境と自分がヘブル人であることは、大きなジレンマとなり、エジプト人を手にかけた以上国を離れるしか選択肢はなかったのです。