出エジプト22章 わたしは情け深いから

出22:27「なぜなら、それは彼のただ一つのおおい、彼の身に着ける着物であるから。彼はほかに何を着て寝ることができよう。彼がわたしに向かって叫ぶとき、わたしはそれを聞き入れる。わたしは情け深いから」

「情け深い」はヘブル語の「hannun(ハヌーン)」が使われており、「慈悲深い」の意味があります。神ご自身が「わたしは情け深い」と言われているのです。それはやもめやみなしごという社会的に不利な立場にある者への配慮で、仮に着るものを質に入れたとしても、それが彼らにとって唯一の着物であるなら返さなければなりません(26-27)。それはどんなに子どもが成人して父母を離れ、妻と結ばれようとも(創2:24)、また男が苦しんで食を得なければならない存在だとしても(創3:17)、父が死ぬことも、両親が亡くなることもあり得るからです。人にはそれぞれが課せられた人生を背負って生きています。その中でも神の目は弱い立場の者への配慮を忘れておられません。十戒の後に書かれているのは奴隷についてでした(21:2)。奴隷という立場は、無報酬で労働を提供しますが、奴隷を持つ者は彼らへの衣食住の提供をしなければなりません。どんなに厳しい労働を強いられたとしても、食事は与えられます。エジプトにいたイスラエル人は荒野で肉が食べられないとき「エジプトの地で、肉なべのそばにすわり、パンを満ち足りるまで食べていた(16:3)」と言っています。イスラエルの民がエジプト以下の扱いを奴隷にすることは神がお許しにならなかったのです。