出エジプト20章 ほかの神々があってはならない

出20:3「あなたには、わたしのほかに、ほかの神々があってはならない」

エジプトで430年もいたヘブル人には「神」と言われてもどの神かは区別がつきません。それゆえに、モーセが燃える柴の中で神と出会ったときに、最初に神がモーセに名乗ったのは「わたしは、あなたの父の神、アブラハムの神、イサクの神、ヤコブの神である(3:6)」というものでした。ヨセフの活躍により、彼の家族は全員カナンの地からエジプトに移ることができました(創46:27)。そのため彼らの知る神は「ヤコブの神」であり、具体的な名前は聖書には出てきません。ただ、洪水前には人々が「主」の名によって祈り始めたという記述があり、人が神の名を口に出したのはこの頃だと思われます。それ以降「YHWH」が神の名となり、聖書を読む者にとっても発音がはっきりしないこの名は難題でした。エジプトに住むヘブル人はアブラハム、イサク、ヤコブの話を知っており、なぜ自分たちがエジプトに来てからかも代々知らされていたと考えられます。400年の年月が過ぎ、エジプト人のあいだではヨセフがいたこそさえ忘れ去られ、なぜ文化の違うヘブル人がエジプトに多くいるのかわからなくなっていました。出エジプトをしたときに、彼らに多くの奇跡を見せ、導いた神はアブラハムも信じたあの神であることを示したのです。そして、この神以外には「神」はいないと最初に戒められたのです。