コリント2章 混ぜ物をして売るような

2コリ2:17「私たちは、多くの人のように、神のことばに混ぜ物をして売るようなことはせず、真心から、また神によって、神の御前でキリストにあって語るのです」

おそらくこの頃にはいろいろなキリストの解釈があったのだと思われます。福音書と名のつく書簡も、新約に編纂された4福音書以外に最低でも10はあったと言われています。中には「ペテロによる福音書」「トマスのイエス伝」など、ビッグネームを名前につけるものもあり、そのほとんどはペテロやトマス本人とは何の関わりもないものです。これらの福音書は397年のカルタゴ公会議で新約27書簡が公認されるまで、いろいろな人たちに読まれていました。パウロもこのような正確ではないイエス・キリストの話を持ち込まれ、教会をかき回されるのにも困っていたと思われます。「売るようなこと」とありますが、ギリシャ語「kapeleuo(カペルオ)」は「行商」とか「汚職」の意味もあります。それが何かはわかりませんが、キリストの教えだと言って、人々の気にいることばを加えた本を売っていたのかもしれません。そのような詐欺的な行ないは、キリスト教が公認されてからも行なわれており、4世紀に至るまで、いったいどの聖書を読んでいたのかもわからない状態です。パウロが伝えるキリストの教えと違った考えが教会に入り込んでいました。第2コリントへの手紙の主題もグノーシスの教えにあり、このようないいかげんな福音を信じることがないように忠告するためでもありました(11:4)。