1サムエル29章 私が何をしたというのでしょうか

1サム29:8「ダビデはアキシュに言った。「私が何をしたというのでしょうか。私があなたに仕えた日から今日まで、このしもべに何か、あやまちでもあったのでしょうか。王さまの敵と戦うために私が出陣できないとは」」

ペリシテ人の首長たちの言い分はもっともで、むしろアキシュのほうがおかしいのです。ダビデは賢くアキシュの前で振る舞い、自分はイスラエルから追われている身分だと演出しました(27:8-11)。それはあながち嘘でもなく、実際にサウルに追われ、イスラエルには簡単に帰れない状況でした。ペリシテ人の首長たちは「サウルは千を打ち、ダビデは万を打った」というイスラエルの評価を知っていました(5)。おそらくそれはアキシュも知っていたのでしょう。しかし、最初にダビデが現れたときには単身で気が違ってかのような態度を見せ、とてもまともには見えませんでした(21:13)。次に、ダビデがアキシュの前に現れたときには600人の部下とその家族でおそらく1000人以上の大集団として登場しています(27:2)。サウルはペリシテのガテ地方まで遠征してペリシテ人と戦おうとは考えておらす、サウルの追撃はアキシュのところまでは来ませんでした(27:4)。ダビデはほかのペリシテの領主たちには自分が疎まわれていることを知っており、彼のターゲットはアキシュに絞られていました。すなわち、自分がイスラエル攻撃のメンバーからはずされても、「何か、あやまちでもあったのでしょうか(8)」と白々しく言ってのけ、アキシュが疑わないように工作を計っていたのです。