2サムエル15章 いっしょにさまよわせるに忍びない

2サム15:20「あなたは、きのう来たばかりなのに、きょう、あなたをわれわれといっしょにさまよわせるに忍びない。私はこれから、あてどもなく旅を続けるのだから。あなたはあなたの同胞を連れて戻りなさい。恵みとまことが、あなたとともにあるように」
ガテはゴリアテの出身地で、ダビデが気がふれた芝居をしたのはガテ人アキシュのところでした(1サム21:13)。ガテ人がどのような過程でダビデのところにきたのかはわかりませんが、情勢はアブシャロムに優勢なのは明らかです。勝ち馬に乗るならダビデの言うように、エルサレムに戻ってアブシャロムに仕えるのも一案でしょう(19)。ダビデの言葉通りなら、イタイがダビデのもとに来たのは最悪のタイミングだと言えます。「昨日の今日」とあるように、たった1日でダビデは王座を追われるようになったからです。ダビデとしては、サウル王から逃げた経験があるので、逃亡生活がどのようなものかを十分理解していました。いろいろな場所をさまよい移動させるのは「忍びない(20)」というのはダビデの本音だと思います。しかし、イタイは王のそばに生きるときも死ぬときもともにいる、と絶対忠誠を誓うのです(21)。この心意気をダビデが感じないわけがありません。ガテ人という垣根を越えて、その後イタイはダビデの全軍の3分の1を任せられるようになります(18:2)。そしてこの逃亡のあとアブシャロムを追撃する側となったダビデは、イタイにアブシャロムを殺すなと命令を下すのです(18:12)。ダビデのふところの深さは主からきているのでしょうか。