彼らは私よりも強い

詩142:6「私の叫びに耳を留めてください。私はひどく、おとしめられていますから。どうか、私を迫害する者から救い出してください。彼らは私よりも強いのです」
マスキールは〇〇の調べにあわせてという詩がいくつかあり(45,53篇など)、音楽用語だととらえる聖書注解もあるようです。マスキールのヘブル語は「sakhal(サーハル)」という動詞の派生語で「教示する」とか「理解する」という意味があることから、「ダビデの悟り」とも訳せます。ここでダビデは「彼らは私よりも強い」と歌っています。別の言い方をするなら「自分は弱い」という意味になります。パウロは主が「わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである」と言われ、それゆえに「喜んで私の弱さを誇 りましょう(2コリ12:9)」と言っています。パウロの悟りは「私が弱いときにこそ、私は強い(2コリ12:10)」というものでした。ダビデも同じように、自分が弱いことを悟り、主に拠り頼もうとしています。自我が強ければ強いほど、主の声は届きにくいものです。自分の王座に自分が居座り続けるなら、主が導こうと思っても難しくなります。結果を信じることも大切ですが、心をニュートラルにして、自分と思っている通りの結論でなくても、主の導きなら従うという姿勢をダビデは悟っていたのです。