あれは幽霊だ

マタ14:26「弟子たちは、イエスが湖の上を歩いておられるのを見て、「あれは幽霊だ」と言って、おびえてしまい、恐ろしさのあまり、叫び声を上げた」
「幽霊」に使われているギリシャ語「phantasma(ファンタスマ)」は、イエス様が水の上を歩くこの出来事のときだけ使われているものです(マコ6:49)。英語「phantom」の語源となり、イタリヤ語とスペイン語ではそのまま現在でも「fantasma(ファンタスマ)」と、そっくりな発音で残っています。意味も同じ幽霊やお化けを指しています。しかし、それまでにも悪霊に取りつかれた人を見てきたはずです(4:24、8:26など)。またイエス様が復活され弟子たちの真ん中に立たれたときも「彼らは驚き恐れて、霊を見ているのだと思った(ルカ24:37)」とあります。モーセの時代から禁じられている霊媒や口寄せなどは、死者の霊と交信できるものです。事実、聖書にはサウル王がサムエルの霊を呼び出したことが書かれています(1サム28章)。おそらく幽霊とは死者の霊のことを指しているのだと思います。弟子たちはこの世には存在してはいけない何かを見たと勘違いして、叫び声をあげたのだと思います。神を信じていても、得体のしれない何かに遭遇した時、人は驚くものなのです。