イエス・キリストのしもべヤコブ

ヤコブ1:1「神と主イエス・キリストのしもべヤコブが、国外に散っている十二の部族へあいさつを送ります 」
ギリシャ語では「ヤコブ」は「iacob(ヤコーブ)」と「iakobos(ヤコボス)」の2種類が使われており、英語では「iakobos(ヤコボス)」をすべて「james」と訳しています。英語の「james」にはいくつかの説がありますが、ラテン語からフランス語へ訳する際の発音をキングジェームス訳が採用したのではないかと言われています。そして、ヤコブの手紙を書いたヤコブユダヤ人であり、十二部族に手紙の内容が届くように書かれています。一般にイエス様の兄弟のヤコブのことだと考えられています。イエス様が長男、その後にヤコブ、ヨセフ、シモン、ユダが生まれ、ヤコブはマリヤとヨセフの次男という扱いになります(マタ13:55)。ヤコブの手紙は最も最後に正典に加えられた書簡です。ヤコブが誰であり、誰に向けて書かれたかがわからなかったことが大きな原因だったようです。この手紙のなかに「教会」という単語は登場せず、パウロのように教会に宛てた手紙とはちょっと質が違うものになっています。最後まで誰を対象に書かれているのかは不明ですが、クリスチャンとしての態度を的確に述べていることがわかります。試練(1章)、信仰の行い(2:17)、舌について(3:6)、金銭と祈り(4-5章)など、パウロとはちょっと視点が違いますが、キリスト者として大切な内容となっています。