その富によって強力になったとき

ダニ11:2「今、私は、あなたに真理を示す。見よ。なお三人の王がペルシヤに起こり、第四の者は、ほかのだれよりも、はるかに富む者となる。この者がその富によって強力になったとき、すべてのものを扇動してギリシヤの国に立ち向かわせる」
ダリヨス元年が記されていますが(1)、10章ではクロス王が死んだばかりでダニエルは喪に服していました(10:1-2)。ここで言う最も富む王はアハシュエロス王(エス1:1)のことで、歴史本ではクセルクセスという名で記されています。3人の王はカンビュセス、スメルディス、ダリヨスを指します。エステル記によれば、アハシュエロスはユダヤ人を弾圧から助け(エス8:2)、総理大臣にユダヤ人を据え(エス8:10)、ユダヤ人の后をもちました(エス2:16)。アブラハム契約では「あなたを祝福する者を私は祝福し(創12:2)」とあり、まさしくユダヤ人を優遇したアハシュエロスのときにペルシャの黄金期を迎えます。彼はホドからクシュまで127州を治めたとあります(エス1:1)。映画「300(スリーハンドレッド)」の原案になったテルモピュライの戦いギリシャに苦戦し(BC480)、この戦いを機にギリシャ(ローマ)は力をつけ、やがてローマ帝国ペルシャを破る原動力にもなりました。5節の南の王はプトレマイオス朝で、北の王(6)は、セレウコス朝シリアのことだと考えられ、南の王の娘が北の王に嫁ぐとはエジプトのベルニケ妃がシリアに政略結婚したことを指しています(6)。このような具体的な預言が11章では順を追って書かれ、ことごとく実現しています。