創世記10章 カナン

創10:6「ハムの子孫はクシュ、ミツライム、プテ、カナン 」
洪水後初めて箱舟から出てきたときに、すでに「ハムはカナンの父である」と紹介されています(9:18)。またノアが酔っ払って裸になったときにも、なぜか「のろわれよカナン(9:25」と言われています。ハムには「カナンの父ハム(9:25)」というような修飾語として「カナン」が使われており、どれもまだカナンが生まれる前の話です。10章でセム、ハム、ヤペテの子孫が紹介されている中で、ハムの4男としてようやくカナンが登場します。クシュ(6)、あるいはクシ(ゼパ1:1)は黒人を指すので、ハムには褐色や黒人のDNAがあったようです。クシュの子にはニムロデが生まれ(8)、バベルの国を作ったのも彼でした(10)。それでもカナンが何か主に対する不敬をはたらいた記録はなく、彼らの土地は広がり(19)、やがてアブラハムがその地を目指すようになります(12:5)。ただ1つ注目すべきは「兄弟たちのしもべらのしもべとなれ(9:25)」ということばで、解釈のしようによっては「奴隷」のことを指しているようにも取れます。多くの聖書研究者は16世紀以降の大航海時代からの黒人奴隷を指していると考えています。たしかに1862年アメリカでは奴隷解放宣言がありましたが、20世紀になっても差別はおさまらず、1960年代の公民権運動でようやく黒人が市民権を得るようになりました。しかし21世紀の現在でもまだ完全に差別がなくなったわけではありません。