使徒23章 彼の口を打てと命じた

使23:2「すると大祭司アナニヤは、パウロのそばに立っている者たちに、彼の口を打てと命じた」
たった一言しか発していないのにすぐにパウロを黙らせろという大祭司アナニヤの考えです。おそらくパウロの「全くきよい良心をもって(1)」という言葉に反応したのだと思われます。「良心」のギリシャ語「agothos(アガソス)」は「良い」の意味で、自分を正義だとする発言に怒っているようです。しかし、パウロは大祭司アナニヤを無視するかの態度で臨みます(3)。ここはエルサレムパウロは神殿の外の広場にいます(21:30)。大祭司ならば衣装をみればそれが大祭司であるとわかりますが、パウロはとぼけて「私は彼が大祭司だとは知らなかった(5)」と言っています。パウロは自分を糾弾する力が及ぶ前に、福音を伝える必要がありました。彼の取った秘策は「死者の復活という望みのことで、さばきを受けているのです(6)」というものでした。いきなりキリスト復活の核心部分をやり玉に挙げることで、パリサイとサドカイの対立に興味を注がせ、パウロ自身から一旦注意を反らした形になります(7-8)。しかし、聖霊はローマまでパウロが行き、皇帝の前で証しをすることを望んでおられました(11)。ここで死んでは身も蓋もないのです。