使徒24章 ナザレ人という一派

使24:5「この男は、まるでペストのような存在で、世界中のユダヤ人の間に騒ぎを起こしている者であり、ナザレ人という一派の首領でございます」
この頃になると、パウロが伝えるイエス様は「ナザレ人」という一つのユダヤ会派だと思われていたようです。しかも、パウロが「首領」と位置付けられており、ペテロやヨハネのようにガリラヤ系ユダヤ人でなく、ローマ市民権を持つためにパウロが多くの人前で語ることができたことを示しています。もともとはマタイ福音書で「これは預言者たちを通して「この方はナザレ人と呼ばれる」と言われた事が成就するためであった(2:23)」と書かれたことに帰します。しかし、マタイが言うように預言書の中にギリシャ語「Nazoraios(ナザライアス)」と同じ発音の語はなく、新改訳の下の注解では「その根から若枝が出て(イザ11:1)」が参考として挙げられています。その中の「若枝」のヘブル語「netser(ナゼール)」の発音がおそらくナザレのことではないかと考えられています。イエス様の名前は救い主の名前として権威ある名前ですが、多くの人は「あのナザレ人」という感覚でしかなかったようです。それでも、皇帝の前に出る前にすでに、あるユダヤ教の一派にまで名前をとどろかせたのはパウロのたゆまない伝道のおかげだと思います。