士師記20章 石を投げて、失敗することがなかった

士20:16「この民全体のうちに、左ききの精鋭が七百人いた。彼らはみな、一本の毛をねらって石を投げて、失敗することがなかった」
なぜこのことが書かれているかというと、戦争のやり方に関係しているからです。日本の戦国時代もそうでしたが、陣を構えてお互いに向き合ったとき、戦闘開始は飛び道具からになります。いきなり剣を振り回して届く距離まで接近するのは怖いですから最初からはやりません。士師記には弓矢の記述はなく、剣と石だけが戦いに使われていたようです。そうすると、ただ石を投げるイスラエルの兵士より、髪の毛一本を命中させるベニヤミンの精鋭の方が有利です。どんなに剣を使える40万人をかき集めたとしても(17)、剣の使える距離に到達する前に投石でやられてしまいます。しかも、「イスラエルの地のどこにも鍛冶屋がいなかった(1サム13:19)」という記述があるぐらいで、剣もこん棒とあまり変わらなかったようです。やはり強い統率力のあるリーダーと軍師がいなければ、戦には勝てません。最初の2回の戦闘で4万人、つまり10分の1の戦力を失ってしまいます。ようやく本気になったイスラエルは断食し、全焼のいけにえと和解のいけにえを捧げたとあります(26)。神に対する態度も最初の2回はいい加減だったのです。そして、神からの知恵「伏兵」を備えることになりました(29)。