詩篇129篇 彼らは私に勝てなかった

詩129:2「彼らは私の若いころからひどく私を苦しめた。彼らは私に勝てなかった」
なぜ「若いころからひどく私を苦しめた」ことを2回も繰り返しているのでしょうか?1つはこの「都上りの歌」が定型の歌であり、歌を歌う際の語呂合わせだったことが考えられます。「私」がイスラエルだとするなら「彼ら」はいったい誰のことでしょうか?「私」に勝てなかった「彼ら」は、エジプトのように思えます。「若いころ」はまだ成熟していない、あるいは完全ではない状態を表しています。イスラエルは荒野でさまよい、神に試され、約束の地に入ります。優れた指導者だったヨシュア死後、士師の時代を経て王の時代になり、ソロモン王の時に神殿は建てられます。王が定まり、神殿が建てられた時を成熟だと考えるなら、エジプト時代はまだ幼少時代だとも取れます。さらに「私に勝てなかった」は、出エジプトで神が起こした10の災いを指していると考えるとつじつまは合います。この詩ではシオンについて、シオンを憎む者に(5)主の祝福がないように(8)という、ある意味呪い的なニュアンスがあります。エルサレムに向かう際に、もっと喜ばしい歌ばかりかと思いきや、このようにシオンに逆らう者への忠告のような歌もあるのです。