2サムエル記8章 祝福のことばを述べさせた

2サム8:10「そこでトイは、その子ヨラムをダビデ王のもとにやって、安否を尋ねさせ、ダビデがハダデエゼルと戦ってこれを打ち破ったことについて、祝福のことばを述べさせた。ハダデエゼルがトイに戦いをいどんでいたからである。ヨラムは銀の器、金の器、青銅の器を手にして来た」
イスラエルが王国となった時から、国防という概念が生まれました。すでにサウルの時代から近隣諸国と戦いをしていたことが聖書に記されています(1サム14:47)。南側にはエドム、モアブ、東はアモン、西にはペリシテ、北にはアラムが控えています。ツォバ王ハダデエゼルはユーフラテス川から上ってきていますから(3)、アラム(シリア)諸国の一つだと思われます。一方ハマテ王トイもイスラエルの北に領土を展開していましたが、ツォバとダビデ軍が衝突してしまったことで、思わぬ「棚ぼた」状態が起きたのです。ダビデの戦闘能力は若い時から非常に抜きん出ており、「サウルは千、ダビデは一万(1サム18:7)」という言葉もあながち誇張とは言えない表現だったようです。何よりもダビデにはイスラエルの神がついていました(1サム18:14)。トイの贈り物を考えるなら、ハダデエゼル軍がいかに強かったかがわかります。おそらくトイは負けるかもしれない戦いをダビデによって救われたことのお礼が言いたかったのだろうと思われます。ダビデは北に次いで南のエドムも傘下に治めています(14)。これらの戦いはすべて「主は、ダビデの行く先々で、彼に勝利を与えられた(14)」という言葉に集約されています。