1列王記5章 レバノンから海へ下らせます

1王5:9「私のしもべたちはそれをレバノンから海へ下らせます。私はそれをいかだに組んで、海路、あなたが指定される場所まで送り、そこで、それを解かせましょう。あなたはそれを受け取ってください。それから、あなたは、私の一族に食物を与え、私の願いをかなえてください」
ヒラムは2つの提案をしています。切り出したレバノン杉は、陸路ではなく海路で送るということと、働いた者への食事の提供です。現在のレバノンの首都ベイルートは港町で、仮にそこからイスラエルのテルアビブまで木を輸送したなら、必ずエフライムの山地を越えなければならず、効率的ではありません。ツロ、シドンは貿易で富を築いた都市で、ツロには熟練の船乗りがおり(ヨエ3:4)、シドンには木を切る熟練者がいました(6)。また、神殿再建のときにも、クロス王がレバノンから海路で杉材をツロとシドン人に運ばせた記録が残っています(エズ3:7)。ソロモンが与えた小麦2万コルというのは、1日換算にすれば約55コルになります。聖書辞典などでは1コルを約230リットルとしており、いったいヒラム一族が何人いたかはわかりませんが、1万2千リットルもの小麦が毎日与えられるのなら相当人数が養えたと思われます。もっとも、ソロモンの1日の食料が小麦粉30コルだったことを考えるなら(4:22)王ほどには与えられなかったようです。卓越した木こりと、船乗りの技術でツロとシドンは栄えていました。ソロモンはダビデ王と親しかったヒラムと盟約を結び(12)、ヒラムもまたソロモンを知恵ある者と認め、2人の働きで神の神殿が7年で完成するのです(6:38)。