エズラ5章 クロス王からの命令

エズ5:17「ですから今、王さま、もしもよろしければ、あのバビロンにある王の宝物倉を捜させて、エルサレムにあるこの神の宮を建てるためにクロス王からの命令が下されたかどうかをお調べください。そして、このことについての王のご意見を私たちにお伝えください」
王の交代や総督の交代などで、前任者との意思疎通が欠けているときに、このような現場での混乱が起きます。ユダヤ人はクロス王に命じられ、金銀を与えられ、神殿の宝物も持参してきています(1:11)。王の命令なら絶対だと思いますが、時間の経過とともになぜユダヤ人が神殿を再建しようとしているのかがわからなくなってしまったのです。しかし、ペルシャの記録は正確だったようで、ダリヨス王はすぐに父クロスが情熱を持ってこの事業を成そうとしていたことを悟ります(6:2-5)。国が大きくなると、どうしても細かい情報がおざなりになりがちですが、ペルシャはクロス王の命令の書簡を大切に保管していました。それにより、総督タテナイとシェタル・ボズナイが介入しようとした神殿再建は守られたのです(3)。その背景にはクロス王への国民の信頼がありました。クロス王は今でも大王の誉れが高く、1971年に行われたペルシャ(イラン)建国2500年記念祭の2500年の根拠はクロス王の即位年とされています。それほどイランにとってクロス王は特別な存在です。ダリヨス王も父クロスの命ならばそれに従うしかなかったのです。