伝道者の書7章 昔のほうが今より良かった

伝7:10「「どうして、昔のほうが今より良かったのか」と言ってはならない。このような問いは、知恵によるのではない」
出エジプトをしたとき、イスラエル人はモーセに対して「なんということを私たちにしてくれたのですか(出14:11)」と不満をぶつけ、エジプトに帰った方がまだましだと訴えました(出14:12)。昔を懐かしむとはいえ、奴隷として痛めつけられた地に戻ろうとするのは、判断力の欠如としか言いようがありません。ソロモンによれば、昔がよかったという人は知恵によってその言葉を発しているのではないことになります。キリストによって救われた人は以前は罪の中にあったのに、神の和解を受け入れ、キリストと共に生きるようになりました(コロ1:21-22)。それなのに罪の生活の方が今より良かった…というのは神を否定することになります。決して罪の時代の方が楽しかったとか良かったと言わないことです。ソロモンは「死ぬ日は生まれる日にまさる(1)」と言い、人には限られた時間があることを知っていました。誰もが知るこの事実に、知恵ある者は目を留め、愚か者は快楽におぼれるのです(2-4)。しかし、祝宴の家に行くより、喪中の家に行く方が良い(2)、というのは何とも皮肉めいています。あらゆる贅を尽くしたソロモンが、最終的に目を留めたのは寿命であり、どんな知恵でも解けない神の知恵がそこにあります。