伝道者の書12章 すべては空

伝12:8「「空の空。伝道者は言う。すべては空」
ここでもう一度、最初の言葉に戻ります(1:2)。「伝道者」はヘブル語「qohereth(コヘレス)」が使われています。日本語訳では「コヘレト」と訳され、新共同訳では「伝道者の書」ではなく、「コヘレトの言葉」というタイトルになっています。口語訳も「伝道者」と訳していますが、もともとの意味は「説教者」とか「教えを授ける者」というものです。11章に渡り、いろいろな話をしてきましたが、最後は「あなたの若い日に、あなたの創造者を覚えよ(1)」と結論づけています。「若い日」は文字通り若いときとも考えられますが、取り返しのつかなくなる前にというニュアンスが強いと思います。実際の年齢が本当に若かろうが、年老いていようが関係なく、一刻も早く、すべては神の御心の下にあることを悟って、創造主を覚えなさい、とも聞こえます。目に見える贅沢や快楽は、一瞬にして過ぎ去ります。それでもソロモンは「人は長年生きて、ずっと楽しむがよい(11:8)」と、人生を謳歌するように勧めています。それにはソロモンが達した結論が伴っています。「神を恐れよ。神の命令を守れ。これが人間にとってすべてである(13)」…これこそが、コヘレト・ソロモンが言いたかった結論だと思います。