雅歌2章 いばらの中のゆりの花のようだ

雅歌2:6「わが愛する者が娘たちの間にいるのは、いばらの中のゆりの花のようだ」
「恋は盲目」は、世界中どこでも通じる言葉ですが、ここに登場する男と女はまさしく恋する人以外は目に入らない状態です。もし、ソロモンがこの男だとするなら、王妃候補は数知れずで、美しい女性はたくさんいたはずです。事実、王妃は60人、そばめは80人だとあり(6:8)、彼女たちも愛する人をほめたと書かれています(6:9)。王妃の立場は政略的なものであり、必ずしも美しい娘がいるとは限りませんが、そばめはやはり王のお気に入りが選ばれます。そのような慰める女たちではなく、心から愛する女性が王の前に現れたのです。王が娘に近づくなら、かもしかが山を跳ねるように娘は感じます(8)。王の「さあ、立って出ておいで(10)」と彼女を誘ったとき、冬は去り、地に花が咲き乱れるようだと言っています(11-12)。もちろん「出ておいで」と言ったからといって、急に季節が変わるわけではありません。愛する人と会えるなら、季節でさえ春が来たように思えるのです。恋心は楽しい一面、深い疑心悪鬼にもなりやすいものです。娘が「愛に病んでいる(5)」というのは、思い詰める娘の本音だと思います。