雅歌8章 私を封印のように

雅歌8:6「私を封印のようにあなたの心臓の上に、封印のようにあなたの腕につけてください。愛は死のように強く、ねたみはよみのように激しいからです。その炎は火の炎、すさまじい炎です」
「封印」はヘブル語「chowtham(コサム)」が使われており、「目印」や「合図」の意味もあります。普通なら封印したら開けることができません。封印された手紙を、見ず知らずの他人が開けることは許されません。封印を解くことができるのは、封印した本人か、封印を解く権威を持つ者だけです。娘は王の心臓と腕という、最も大切な体の部分に自分を結びつけて欲しいと願っています(6)。それはソロモンから離れたくないという娘の必死の願いのようにも聞こえます。その動機は「愛は死のように強く、ねたみはよみのように激しいからです。その炎は火の炎、すさまじい炎です(6)」とあるように、娘の激しい愛に基づくものです。「愛」はヘブル語「ahabah(アハバー)」が使われ、男と女の愛、ギリシャ語の「eros(エロス)」に近い意味を持ちます。このような激しい表現を使うのは、娘は2度もソロモンと会えずに、街を探し回った経験があるからです(3:1-5、5:2-8)。会いたくても会えないという状態は、会いたいという熱望をさらに増幅させます。すでに出会うことができても、ソロモンを独占したいという感情は支配し難いものです。「私の愛する方よ。急いでください(14)」と最後までソロモンを待ち続けるのです。