詩篇111篇 主を恐れることは知恵の初め

詩111:10「主を恐れることは、知恵の初め。これを行なう人はみな、良い明察を得る。主の誉れは永遠に堅く立つ」
111篇と112篇は折句(おりく)のような形態をとっています。最初の「ハレルヤ(1)」は別にして、次の語はヘブル語のアルファベットの最初の語「アレフ」で始まっています。その同じ節の中に次の「ベート」が使われており、1節にアルファベットが2つずつつながった詩になっています。ヘブル語のアルファベットは22文字あるので、最後の9節と10節に3語ずつ、つまり「ペー」「ツァディ」「クフ」が9節に、「レーシュ」「シン」「タヴ」が10節に使われています。そのような言葉の制約を受けてもこのような詩を歌うことができるのは、相当にヘブル語に精通している知恵のある人の作だと思います。しかも「主を恐れることは、知恵の初め(10)」と、箴言の中の一節とまったく同じことを語っているのです。ソロモンの箴言の中には2回このことばが書かれており(1:7、9:10)、ソロモン自身が自分への戒めとしていたことがわかります。この詩には歌い手の名前はありませんが、このようにヘブル語を自由自在に扱い、主を恐れることを知恵だと悟っている人物となるとソロモンが有力な候補に挙がります。ソロモンはアルファベットの最後の3文字を使い、20番目の「r」の付く「reshiyth(レシース)」、つまり「初め」を取り入れた詩を考えたと思います。