ダニエル11章 ひとりの勇敢な王

ダニ11:3「ひとりの勇敢な王が起こり、大きな権力をもって治め、思いのままにふるまう」
一般に「勇敢な王」はアレキサンダー王のことだと言われています。世界で最も広い領土を獲得したのはモンゴル帝国のチンギスハンですが、彼が1260万平方キロメートルを20年で占領したのに対し、アレキサンダー王は10年で560万平方キロメートルを占領しました。アレキサンダー王が進軍をやめたのは、配下の武将たちが「どこまでこの進軍が続くのか」と途方に暮れたためです。歴史に「たら、れば」はありませんが、アレキサンダー王がもう少し長生きできたならマケドニアの地図は変わっていたでしょう。アレキサンダー王の後継者には、「最も力がある者」という遺言だったため、マケドニアは内紛がおこり分裂してしまいます。「彼の国は根こぎにされて、その子孫以外のものとなる(4)」と書かれている通りになりました。クロス王のように明確な名指しはありませんが、これから現れる「大きな権力をもって治め、思いのままにふるまう(3)」勇敢な王アレキサンダー王が聖書に登場するのは、歴史上の必然とも言えます。その後南の王(5)プトレマイオスと、将軍のひとり(5)セレウコスがイエス様の時代までの中間として書かれているのも興味深いことです。