詩篇48篇 シオンの山が喜び

詩48:11「あなたのさばきがあるために、シオンの山が喜び、ユダの娘が楽しむようにしてください」
「山」と「都」がこの詩の中に多く登場します。シオンの山は「北の端(1)」にあると書かれています。シオンが北なら、南には何があったのでしょうか。城壁の外には町を囲む壁があり、南にはベン・ヒノムの谷があります。南からエルサレムを見たときに高台になっており、ユダヤ人はそれを山と表現していました。「地の果て(10)」という言葉が出てきますが、当時の地の果ては地中海までとされていました。その先大西洋は誰も渡ったことがなく、それだけの航海術や船もありませんでした。また、ペルシャの支配した現在のイランより西もよく知られていませんでした。現在のように世界が宇宙から見れるような時代には、地の果ては聖書の書かれた時代のものとは違っています。しかし、それでもシオンの山は変わらず、聖なる地だとされ、ユダヤ人がシオニズム運動で帰還しようとした土地もエルサレムでした。実際には、イギリスはシオニズム運動の父テオドール・ヘルツルに、当時英国領だったウガンダイスラエルとして建国させようと計画していました。しかし、ユダヤ人のエルサレムに対する根強い執着があり、ヘルツルはアフリカやアルゼンチンという候補地を諦らめざる得ませんでした。もし、アフリカにイスラエルが誕生していたなら、シオンの山も大王の都も、まったくイメージの湧かないものになっていたでしょう。