詩篇64篇 その舌を剣のように

詩64:3「彼らは、その舌を剣のように、とぎすまし、苦いことばの矢を放っています」
「舌を剣のように」を読むとき、アブシャロムに助言したアヒトフェルのことを思い出します(2サム15:31)。この詩にはアブシャロムから逃げているときという表題はついていませんが、どうやらそのときの状況を歌っているように思えます。アヒトフェルはアブシャロムにダビデのそばめのところに入るように進言した男です(2サム16:21)。これはダビデがバテ・シェバを強引にウリヤから奪ったときに、預言者ナタンから告げられた「あなたの妻たちをあなたの目の前で取り上げ、あなたの友に与えよう。その人は、白昼公然と、あなたの妻たちと寝るようになる(2サム12:11)」の成就でした。同時に、バテ・シェバの祖父だったアヒトフェルが、ウリヤが殺され、バテ・シェバを奪ったダビデに対する報復でもありました。この詩篇ダビデが祈った「彼らは、おのれの舌を、みずからのつまずきとしたのです(8)」は、ダビデの使わしたフシャイの言葉によって実現しました(2サム17:14)。フシャイの助言がダビデの策略で、主からの導きだと思った人は、何人いたでしょうか。ダビデの周りにはいつも悪巧みを企てる者がいて、ダビデ自身も心が休まらなかったと思います。主にあって喜び、主に身を避ける(10)ことを実践したダビデだからこそ、このような詩が歌えたのだと思います。