ルカ8章 ぐっすり眠ってしまわれた

ルカ8:23「舟で渡っている間にイエスはぐっすり眠ってしまわれた。ところが突風が湖に吹きおろして来たので、弟子たちは水をかぶって危険になった」
この記事は共観福音書3つに登場します。イエス様が眠っていることが書かれているのはマルコとルカだけです(マコ4:38)。新改訳の「ぐっすり眠って」という訳は、新共同訳、口語訳ともに「眠ってしまわれた」となっています。ここで使われている「眠る」は「aphypnoo(アピフノー)」で、福音書の中ではここだけにしか使われていません。同じ「眠る」の動詞「katheudo(カスード)」より、「眠りに落ちる」すなわち英語で言う「fall asleep」の意味が強い動詞です。おそらく、イエス様は弟子たちの信仰を試したかったのだと思います。波、風がいくら人を襲おうとも、枕して眠ることができるができれば幸いです。荒野でイエス様が受けられた誘惑は、神殿の頂に立ち「あなたが神の子なら、ここから飛び降りなさい(4:9)」というものでした。しかし、イエス様は神を試みてはならないと飛び降りることはありませんでした(4:12)。しかし、悪魔が言った「神は身使いたちに命じてあなたを守らせる(4:10)」は、間違いではなかったのです。イエス様は突風の吹き荒れる舟の中で、平安がありました。父なる神が守ってくださることを信じて疑わなかったのです。舟の中でイエス様は神を試みることはありませんでした。ただ、神が守られることを弟子たちに教えたかったのだと思います。