士師記15章 ペリシテ人が私たちの支配者である

士15:11「そこで、ユダの人々三千人がエタムの岩の裂け目に下って行って、サムソンに言った。「あなたはペリシテ人が私たちの支配者であることを知らないのか。あなたはどうしてこんなことをしてくれたのか。」すると、サムソンは彼らに言った。「彼らが私にしたとおり、私は彼らにしたのだ」」
ヨシュアが死ぬ間際に、まだ占領していない土地が多く残っていました。その中にペリシテ五人の領主の土地が含まれていたのです(ヨシュ13:3)。イスラエル人が約束の地に入り、割り当ても終わり各方面に散って行ったとき、森や山地は自分たちで切り開いて住むようになっていました(ヨシュ17:15)。この時代にユダ族の土地はペリシテに支配されていました。士師記に登場する士師たちは、各時代にイスラエルを苦しめた異邦人たちからイスラエルを救う役目を担っていたのです。サムソンの場合はペリシテがその対象です。今回は支配される側のサムソンが婚礼での余興で腹を立てたのが、騒動のきっかけです(4:12-17)。ペリシテ人は支配する側という立場を利用して、サムソンの妻を脅しています(14:15)。またデリラの場合も銀で買収しています(16:9)。これらの脅しや買収は、ペリシテ人の性格がよく現れていると思います。ペリシテ人は用が済んだら、サムソンの妻とその父を殺しています(6)。たとえ同族であっても、邪魔ならば殺すような民族なのです。そのような異邦の教えの民を神が黙って見過ごすわけがありません。サムソンという一見「毒」のように見える士師を使って、荒療治をしなければならなかったのです。