士師記19章 エジプトの地から上って来た日から今日まで

士19:30「それを見た者はみな言った。「イスラエル人がエジプトの地から上って来た日から今日まで、こんなことは起こったこともなければ、見たこともない。このことをよく考えて、相談をし、意見を述べよ」」
この話の中心のレビ人の名前は書かれていませんが、彼の舅が何度も引き留めて、もう一泊していきなさいと言わなければ(9)、ひょっとしたらこの事件は起きなかったかもしれません。しかし、士師記を読む限り、ミカとダン族の争い(17-18章)にしても、自分勝手な解釈で神の律法などどこ吹く風といった感じです。主の律法を無視したイスラエルの民たちの中で、ギブアの事件が起きるのは時間の問題だったように感じます。この事件はベミヤミンと残りの部族の争いへと発展してきますが、ギブアのベニヤミンだけが特別にソドム化していたわけではないと思います。イスラエルの部族たちが、汚されたそばめの死体を見たときに、思い出したのはソドムとゴモラのことではなかったでしょうか。それゆえに、「エジプトの地から上って来た日から今日まで(30)」という表現を使ったのだと思います。つまりそれ以前にはあったおぞましいことが、神がエジプトから導き出して以来一度もなかったと言っているのです。裏を返せば、神がイスラエルを導いておられ十戒まで与えて、主の道を教えていたのにこのような恥ずべきことなど起こり得ないと訴えているようにも思えます。リーダー不在の中で、イスラエルの民に正義とは何かを考えるきっかけを与えたのは間違いありません。この事件以降、王を求める声が激化していくのです。