詩篇109篇 悪者を彼に遣わしてください

詩109:6「どうか、悪者を彼に遣わしてください。なじる者が彼の右に立つようにしてください」
いったいダビデに何があったのでしょうか。と疑いたくなる詩です。相当な憎しみと、相手に対する嫌悪が感じられます。もちろんさばくことが神の領域であることはダビデも十分に理解しています。それゆえに自分が手を下さないのが、ダビデの今までのスタンスでした。そのダビデでも、どうしても許しがたい相手が目前に立ちはだかる様子がわかります。多くの経験を積み、神に信頼し、神を賛美するダビデでさえも、一度心に火が付いたならどうしても神に訴えずにはいられなかったのだと思います。ダビデの相手には悪いことが起きてもかまわない、むしろ彼がさばかれるときには罪に定めて欲しい、彼が祈るときにはその祈りが罪となってほしい(7)、と辛らつな詩が続きます。ダビデならずとも、人生の中で一人や二人このように、馬が合わない人が現れるはずです。もし、そのような人に出会ったことがないのなら、主の祝福がその人の上にあるように願います。残念ながら個人的にはこのダビデの心境が理解できます。それゆえにこの詩を読んでいくうちに心が苦しくなるのです。自分がなぜ人を赦せないのだろうか、という神を信じる者にとっての原点がここに歌われているのだと思います。おそらくダビデも歌いながら、自分の中で苦悩しているのだと思います。赦せない、でもさばきは主のものなのです。