詩篇141篇 彼らのうまい物を食べないように

詩141:4「私の心を悪いことに向けさせず、不法を行なう者どもとともに、悪い行ないに携わらないようにしてください。私が彼らのうまい物を食べないようにしてください」
ダビデに限らず、誰もが神の前に何の障害もなく近づけたならと考えます。しかし、ダビデの周りには不法を行ない、悪だくみを考えるやからがいるのです。ともすれば甘い言葉で誘惑し、悪い行ないへ引き込もうとします。「彼らのうまい物を食べないように」というのは、彼らと同じように甘い汁を吸わないように、とも聞こえます。新共同訳では「彼らの与える好餌にいざなわれませんように」となっています。うまみのある食べ物は、うまみのある取引や、仕事を象徴しているように思います。それらの「うまみ」の影には、正しい者をだましたり、弱い者を出し抜いたりすることが隠れています。ダビデはそういう「うまみ」よりも、叱責を大事にしたいと歌っています(5)。正しいものが愛情をもって責めることは、頭に注がれる油に等しいとさえ言うのです(5)。危ない橋を渡るよりは、悪を避けて正しく細い道を行く方が良いのです。ダビデが神に祈る限り、悪から救い出してくださるのでしょう(10)。それは「私の目はあなたに向いています(8)」という言葉に集約されています。人が見る方向を誤ったときに、近くにいるサタンがすかさず近寄ってきて「本当に神はそのことをおっしゃったのですか」と問いかけてくるのです(創3:1)。