エレミヤ10章 天と地を造らなかった神々

エレ10:11「あなたがたは、彼らにこう言え。「天と地を造らなかった神々は、地からも、これらの天の下からも滅びる」と」
この11節だけがアラム語で書かれています。旧約聖書はヘブル語で書かれていますが、それは読む対象がイスラエルの民に限定していたからです。アッシリアがユダ国を取り囲んだとき、アッシリアの将軍ラブ・シャケはわざとユダの国民に聞こえるようにヘブル語で話しかけました(2王18:26)。それは、ユダ国民の中にはアラム語がわからない者たちがいることが前提の策略です。アッシリアのみならず、バビロニアペルシャと中東を支配した大国はみなアラム語をしゃべりました。つまり、イスラエル、ユダ国以外はアラム語公用語だったのです。問題はなぜたった1節をアラム語で書かれたかです。それはエレミヤの預言が、アラム語を話す人たちにも読まれたか、あるいは、この1節だけはどうしてもアラム語を話す人たちに伝えたかったからではないでしょうか。どうしてもアラム語で伝えたかった内容は天地を造らなかった神々は滅びる、という痛烈な内容でした。その前に書かれていることは、いかに偶像がむなしく(3)、単なる木であり(8)、ものも言えず、歩けないので運んでやる必要があり(5)、無能であるかということです。もし、ヘブル語がわからない誰かがエレミヤ書を見たとしても、アラム語のこの箇所だけはわかるはずです。天地を創造しない神はみな滅びる、と天地を創造した神は言われます。