1歴代誌9章 務めの器具をつかさどった

1歴9:28「彼らの中のある者は、務めの器具をつかさどった。数を合わせてこれらを運び入れ、数を合わせてこれらを運び出した」
おそらくバビロン捕囚から帰還したあとのことが書かれているのだと思われます。帰還した者たちが最初に気を配ったのは、門衛の仕事でした(17-27)。それはエルサレムの周りにはすでに他民族が住んでおり、いきなりやって来たユダヤ人たちが自分たちの土地を脅かすことを警戒して、攻めて来るかも知れないからです。さらに、バビロンが奪い取っていった神殿内の器具を持ち帰って来ていたので(エズ5:14)、金や銀の器具を奪われないための防衛策でした。それらの器具にはそれぞれ担当が決まっており、手鍋だけを管理する者もいました(31)。しかし、エズラ、ネヘミヤ記では、全体の神殿の努めについては、エズラモーセの律法を教えなければ、帰還したユダヤ人たちは律法を理解していませんでした(エズ7:10、ネヘ8:1)。それでも70年経っても、それらのものはバビロンの宝物倉にあって、自分たちの手元にはないのですから、神殿の器具をどう使うかを代々伝えていたのは驚きです。最後は歌うたいが書かれており、契約の箱や神殿内の器具を運ぶ役目だったケハテ族が、この役割をになっていました(32)。70年後、自分たちがレビ族であり、何をする役目を神から授けられているのかを伝え続けたのは、神に仕える誇りが彼らの中にはあったのだと思います。