1歴代誌20章 ダビデはエルサレムにとどまっていた

1歴20:1「年が改まり、王たちが出陣するころ、ヨアブは軍勢を率いてアモン人の地を荒らし、さらに進んで、ラバを包囲した。ダビデエルサレムにとどまっていた。ヨアブはラバを打ち、これを破壊した」
サムエル記にも同じ書きはじめの章があり、ヨアブがアモンを攻め、ラバを包囲した内容が同じです(2サム11:1)。ただし、エルサレムにとどまっていたダビデが、何をしたかは歴代誌には書かれていません。歴代誌では、アモン人の王から奪い取った黄金の冠がダビデに置かれ、アモン人との戦いが終結したことに焦点が当てられています(2-3)。金1タラントの冠は、聖書の度量衡では34キログラムと推定され、もし本当にその重さを頭に置かれたなら首の骨が折れかねません。一方、サムエル記では、エルサレムにとどまったダビデの行動を中心に書かれています(2サム11章)。エルサレムに残ったダビデはバテ・シェバを見初め、夫がいるにもかかわらず、彼女を召し入れました(2サム11:4)。そして夫のヘテ人ウリヤを殺し、バテ・シェバはダビデの妻になります(2サム11:17-27)。バテ・シェバはやがてソロモンを産み(2サム12:24)、ソロモンが次の王になりました。この重要なバテ・シェバとのいきさつも歴代誌にはなく、あくまでも系図とか戦いの結果などの事実関係が書かれています。それはサムエルという預言者を中心に書かれたサムエル記と、同じ内容の歴史を祭司の目から見た歴代誌の違いだと思います。