ルカ3章 アンナスとカヤパが大祭司であったころ

ルカ3:2「アンナスとカヤパが大祭司であったころ、神のことばが、荒野でザカリヤの子ヨハネに下った」
ピラトはユダヤの総督とあり(1)、総督のギリシャ語は「hegemaneuo(ヘゲマヌーオ)」が使われています。それに対しヘロデは「tetraarcheo(テトラアーヘヨ)」が使われ、領主の意味があります。皇帝テベリオ(テベリウス)の下に、各地域の総督が置かれ、さらにその下に区分けされた領地を監督する者が置かれていました。ピラトは各地域の国主(領主)をまとめるトップで、ヘロデはユダヤの王とは名乗っているものの総督より下の立場になります。聖書ではヘロデとピラトが敵対していたけれども、イエス様逮捕以降仲良くなったことが書かれています(23:12)。さらに、ヘロデ王の支配のもとでユダヤ人はある程度、習慣やしきたりを守ることができていました。大祭司もアンナスとカヤパの2名の名前が書かれていますが、ユダヤの慣習では大祭司は終生の役職でした。しかし、アンナスは皇帝クレニオによって退位させられています。その理由は色々な説がありますが、ローマへの朝貢を怠ったというのが有力です。結局、ユダヤ人にとってアンナスが終生の大祭司で、カヤパはアンナスの婿でローマからユダヤ人の慣習とは別に任命されました。ヨハネ福音書では「その年の大祭司」という言葉が使われ(ヨハ11:49)、おそらく各年でアンナスとカヤパは大祭司を交代していたようです。