ルカ23章 そしてついにその声が勝った

ルカ23:23「ところが、彼らはあくまで主張し続け、十字架につけるよう大声で要求した。そしてついにその声が勝った」

エス様は多くの人を癒し、命を助けてきました。4000人、5000人へ食事を提供したこともあります(マタ15:38、マタ14:21)。それでも律法学者や祭司長の権威は強く、死刑には当たらない人を扇動して十字架につけろと言わせたのです(マコ15:11)。このときピラトは3回もイエス様を釈放するように話しています(22)。土地の総督が無罪を言い渡し、釈放すると言うならその意見が通るのが普通です。しかし、ローマの時代には民衆の意見に政治は左右される場合が多く、特にローマ市民となった者は優遇されていました(使22:29)。ヘロデ王ユダヤ人の人気を得るために、彼らの象徴であり、最も大切にしている神殿を再建をしていました(ヨハ2:20)。群衆が暴動を起こして治安が乱れるなら、その土地の総督や王はローマから責任を問われ、自分たちの地位も危うくなります。ピラトが直面したのは、彼らの信じる神の律法のことで、ピラト本人にはわからないけれども、これ以上群衆の騒ぎが大きくなると暴動になりかねないと懸念したのです。ひょっとしたら、大声を出す者の中にはイエス様に癒された者もいたかもしれません。律法学者、祭司長は神の計画とは知らずに、思惑通り邪魔者を排除できました。