ネヘミヤ6章 門にとびらを取りつけていなかった

ネヘ6:1「さて、私が城壁を建て直し、破れ口は残されていないということが、サヌバラテ、トビヤ、アラブ人ゲシェム、その他の私たちの敵に聞こえると、―その時まで、私はまだ、門にとびらを取りつけていなかった―」
工事も終盤に差し掛かり、城壁に破れたところが残されておらず、あとは門を取り付けるだけになりました。サヌバラテやトビヤたちは、工事が終わるとユダヤ人だけの共同体ができて、今までもらっていた賄賂が手に入らなくなるだろうと考えたのだと思います。トビヤは有力者の娘の婿で、自分の息子も有力者の娘を嫁にもらっており、その関係は根深いものでした(18)。彼らの悪政は穀物を税に取られ、自分たちの食べる分がない(5:2)とか、税金の支払いのため畑や家を抵当に入れなければならない(5:3)、息子や娘を奴隷に売らなければならない(5:5)などの証言から分かります。ネヘミヤの城壁修復は、それらの権力者たちに屈せず、槍や盾を手にしてまで作業するさまを見たユダヤ人たちが彼に信頼を置くようになっています。同時に神殿が完成し、城壁修復も終わるなら、王から特別な命令を受けているネヘミヤが、サヌバラテやトビヤたちの利権を奪うように王に進言しかねません。城壁の門のとびらは工事終了の象徴的な存在で、彼らの焦りは加速していきます。なぜならネヘミヤは負債を帳消しにしたり、穀物を融通したり(5:10)して、トビヤたちの悪政に対抗したからです。彼らは門の修理をきっかけにネヘミヤ暗殺へ舵を切るのです(1-8)。